「足場を組むにはコストがかかる」「建物の外壁を安全に確認したい…」

そんなお悩みを抱えていませんか?

最近は、ドローンを使って屋根や建物の点検を行う事業者様が急増しています。高所作業のリスクを減らし、安全かつ効率的に点検ができるドローンはコストも低く非常に効率的です。

しかしながら、ドローンによる飛行は法律の制約があります。 知らずに飛ばして罰則を受けることになれば、業務どころではありません。

今回は、屋根や建物の点検にドローンを使う際に、特に注意する3つの規定と、知っておくべき民法上の注意点について、解説します。

1. 航空法は大丈夫? ドローンを飛ばす場所に要注意!

ドローンを飛ばす際に、注意が必要なのが「航空法」です。この法律は、ドローンの安全な飛行を確保するために、飛行場所や飛行方法について厳格なルールを定めています。

特に屋根・建物の点検で重要となるのは、以下の2点です。

人口集中地区(DID地区)での飛行

建物の点検は、駅前や市街地など、人が多く住んでいる場所で行う可能性があると思われます。人口の多い市街地は、「人口集中地区(DID地区)」に指定されており、原則としてドローンの飛行が禁止されています。

もし点検をしたい建物がDID地区内にある場合は、国土交通省の飛行許可が必要です。許可なく飛行させると、50万円以下の罰金が科せられる可能性があります。

「自宅の屋根だから大丈夫だろう」と安易に考えてはいけません。ご自宅がDID地区内であれば、この規定の適用を受けますので、必ず確認しましょう。

人、物件と距離を確保できない飛行

ドローンの飛行において、人や物件から30m以上の距離を確保する必要があります。これは、安全を確保するための基本的な条件です。しかし、業建物の点検等でドローンを使用する場合、どうしてもこの距離を確保できないケースがあります。

このような場合に、安全を確保するための措置を講じることを条件に、30m未満での飛行を可能とするために、国土交通大臣の承認が必要です。

2. 小型無人機等飛行禁止法は大丈夫? 施設の周辺には要注意!

ドローンの飛行を規制するもう一つの重要な法律が、「小型無人機等飛行禁止法」です。これは、国の重要な施設や外国公館、原子力事業所などの周辺上空でのドローンの飛行を原則禁止するものです。

具体的には、施設とその周囲おおむね300mの上空が規制の対象となります。

建物の点検を行う場所が、規制対象施設の近くであれば、注意が必要です。

たとえ依頼者様から許可を得ていても、違反すると、1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられる可能性があります。この規制されたエリアはDIPSで確認することができます。

3. 民法上の注意 トラブルに気をつけよう!

屋根や建物の点検では、「他人の土地や建物の上空」を飛行する可能性があります。

ドローンは空を飛んでいるため、「どこまでが誰の土地か」わかりにくいのですが、民法上では「土地の所有権は、法令の制限内において、その土地の上下に及ぶ」と定められています。

つまり、建物の所有者様の許可なく、その上空でドローンを飛ばすことは、所有権の侵害とみなされる可能性があります。(ただし、具体的な距離は規定されていない。)

必ず、事前に飛行範囲を明確にし、依頼者様や近隣住民の方に承諾を得てから飛行させることが重要です。

まとめ:ドローン点検で安全・安心なビジネスを!

ドローンを使った建物の点検は、とても効率的で安全な方法です。

しかし、法律を守らず飛行させてしまうと、罰則だけでなく、依頼者様や近隣住民とのトラブルに発展する可能性があります。

安全に、ドローン点検業務を行うためには、法律を正しく理解し、適切な手続きを踏むことが不可欠です。