係留による無人航空機(ドローン)の飛行と航空法の取り扱い

◆ 概要

無人航空機(ドローン)を**十分な強度を持つ紐等(長さ30m以内)で地面や固定物にしっかりとつなぐ(係留する)**ことで、ドローンの飛行範囲を物理的に制限できます。

このような「係留飛行」は、以下のような危険性を抑制できるため、通常は必要な飛行許可・承認が不要になります。

◆ 許可・承認が不要になる具体的な飛行内容

  1. 人口集中地区上空での飛行
     → 法第132条の85第1項第2号
  2. 夜間飛行
     → 法第132条の86第2項第1号
  3. 目視外飛行(目視できない範囲での飛行)
     → 法第132条の86第2項第2号
  4. 第三者から30m以内の飛行
     → 法第132条の86第2項第3号
  5. 物件の投下(物を上空から落とす)
     → 法第132条の86第2項第6号

※ただし、農薬などの危険物を散布する場合は「危険物輸送」の飛行に該当するため、承認が必要です(法第132条の86第2項第5号)。

◆ 安全確保のための要件(係留飛行を行う場合)

航空法施行規則第236条の76第4号に基づき、係留して飛行する際にも、以下のような措置が必要です:

【第三者の立ち入りを制限する措置】

  • 補助者の配置(監視・声掛けなど)
  • 看板・コーン等による表示で立ち入り制限を明確にする
  • 連絡先の掲示(トラブル対応用)

【その他の対応】

  • 飛行中、万が一人がドローンの下に入った場合は直ちに飛行を停止
  • 飛行経路の変更や安全な場所への着陸などを行い、地上の人や物に危険を及ぼさないようにする
  • 周囲の理解を得るための説明や調整にも努める

※これらの措置が機能しなければ、たとえ係留していても飛行は認められません

◆ 係留とみなされる条件の補足

以下のような構造でも係留と認められる:

  • 主索やガイドレール等に連結索(30m以内)をつなぎ、ドローンを移動させる
    → この場合も、ドローンの移動範囲が物理的に30m以内である限り、「係留」として認められる。

ただし、以下のような場合は係留とはみなされません:

  • ドローンが30m以上移動できる構造になっている
  • 車両や航空機など動くものに係留している(これは「えい航」と見なされ、係留とはされない)