災害時等の緊急飛行における特例(航空法第132条の92)
◆ 趣旨(なぜこの特例があるのか)
災害や事故などの発生時には、当然人命の捜索や救助が最優先されます。
このため、無人航空機(ドローン)による飛行制限(飛行禁止空域や方法の制限)を一時的に解除し、迅速な対応を可能にするために設けられた制度が「航空法第132条の92」です。
◆ 特例が適用される条件
この特例は、以下のいずれかに該当する者に適用されます(航空法施行規則第236条の88):
- 国または地方公共団体
- 国や地方公共団体の依頼により捜索や救助を行う者
◆ 「捜索又は救助」とは?
航空法施行規則第236条の89により、「捜索または救助」とは次のような緊急性のある措置を指します:
- 事故や災害などで人命や財産に差し迫った危険があるとき
- 人命救助や財産の損傷を避けるために必要な調査・点検・捜査等
たとえば:
- 孤立した被災地への医薬品・食料・水などの輸送
- 被害状況の調査・点検
- 避難後の地域での防犯対策のための飛行
◆ 緊急性の要件(※)
この特例が適用されるには、次のような緊急性が求められます:
- 許可・承認の申請を行う時間的余裕がない
- すぐに飛行しなければ人命や財産に重大な損害を及ぼすおそれがある
◆ 特例適用時の注意点
特例が適用されるからといって、安全確保を怠ってよいわけではありません。
次のガイドラインに基づいて、安全な飛行を行う必要があります:
- 「航空法第132条の92の適用を受け無人航空機を飛行させる場合の運用ガイドライン」
(平成27年11月17日付 国空航第687号、国空機第926号)
このガイドラインでは:
- 航空機同士の衝突を避けるための対応
- 地上や水上の人や物件の安全の確保
などが定められており、操縦者や使用者は自主的に安全管理を徹底する必要があります。
◆ まとめ:この特例の意義
- 人命救助や災害対応において、時間との戦いになる局面では、規制を一時的に解除してでも対応が求められます。
- ただし、「緊急性があり、公共性が高い行為」であることが前提。
- そして、特例が認められても、安全確保は必須です。