ドローンを安全に、そして合法的に楽しむために、私たちが常に意識しなければならない法律に「小型無人機等飛行禁止法」があります。この法律は、国会議事堂や原子力施設、特定の空港など、国の重要な施設とその周辺でのドローンの飛行を厳しく制限しています。

「測量等で、どうしてもその場所でドローンを飛ばしたい場合はどうすればいいの?」

そう思われた方もいるかもしれません。今回は、この小型無人機等飛行禁止法の対象となる場所でドローンを飛行させるための、「申請」や「通報」の考え方と、その現実について解説します。

基本は「飛行禁止」!例外規定はあります。

まず大前提として理解していただきたいのは、小型無人機等飛行禁止法で定められた区域は、原則としてドローンの飛行が「禁止」されているということです。これは、テロ対策など、国の安全保障に関わる問題だからです。

しかし、例外的に飛行が認められるケースも存在します。それは、「施設の管理者の同意等を得て、警察等への事前通報う」という手続きを踏んだ場合です。

注意点:これは、一般的な航空法に基づく「飛行許可・承認申請」とは性質が異なります。 航空法がドローンの安全な運航を目的としているのに対し、小型無人機等飛行禁止法は「重要施設の警備」が目的です。そのため、安易に「申請すれば許可が下りる」というものではなく、非常に限定的な状況でのみ認められます。

どのような手続きが必要になるの?

小型無人機等飛行禁止法の対象区域でドローンを飛行させたい場合の手続きは、主に以下のステップで進めます。

  1. 飛行計画の具体化: なぜその場所でドローンを飛ばす必要があるのか、目的、日時、経路、高度、使用する機体、操縦者、安全対策などを具体的に計画します。特に、「なぜその場所でなければならないのか」という必要性が重視されます。
  2. 施設管理者への事前通報と同意: 飛行を予定している場所が、どの重要施設の周辺に当たるのかを確認し、その施設の管理者(例:空港であれば空港管理者、防衛施設であれば防衛省など)に対し、事前に飛行計画を通報し、同意を得る必要があります。 この同意は、文書で行われます。
  3. 警察等への事前通報: さらに、飛行予定場所を管轄する警察署長(または海上保安庁長官)に対しても、飛行計画を事前に通報する必要があります。 通報は、原則として飛行を開始する48時間前までに行う必要があります。
  4. 必要な情報の提供: 通報や同意を得る際には、以下のような詳細情報を提供することが求められます。
    • 飛行の日時
    • 飛行の目的
    • 飛行に係る区域
    • 操縦者(氏名、生年月日、住所、電話番号)
    • 操縦者の勤務先(名称、所在地、電話番号)
    • 同意をした施設の管理者(氏名、住所、電話番号)
    • その他、機器の種類等

非常に高いハードル

この手続きは、航空法の飛行許可申請と比較して、ハードルが高いのが現実です。

  • テロ対策が最優先: この法律の根幹はテロ対策であり、施設の安全確保が最優先されます。そのため、安易な理由での飛行はまず認められません。
  • 厳格な審査: 提出された計画は、警察や施設管理者によって厳格に審査されます。少しでも安全上の懸念があれば、同意は得られません。
  • 時間と手間: 事前通報や同意を得るための調整には、かなりの時間と手間がかかります。余裕を持った計画が不可欠です。
  • 限定的な例外: 公共性の高い業務(災害調査、インフラ点検など)や、施設の管理者が自ら行う飛行など、ごく限られた場合にのみ認められる傾向があります。

まとめ:安易な飛行は絶対にダメ!

小型無人機等飛行禁止法は、私たちの安全を守るために非常に重要な法律です。その対象となる場所でのドローンの飛行は、原則として禁止されており、例外的に認められる場合も、施設管理者や警察署長等への「事前通報と同意」という厳格な手続きが必要となります。

「知らなかった」では済まされない、重い罰則が科せられる可能性もあります。

もし、どうしてもこの法律の対象区域でドローンを飛行させたい場合は、まずはその必要性を熟考し、十分な時間的余裕を持って、専門の行政書士等に相談してください。そして、少しでも不安があれば、飛行を中止する勇気も大切です。

ルールを守り、安全なドローンライフを送りましょう!