ドローンを飛行させるルールとして、「地表または水面から150m以上の空域を飛行させる場合は許可が必要」というのは、皆さん知っての通りです。このルールは、ドローン以外の「有人航空機」に関するルールと密接に関係しています。

今回は、この2つのルールがどのように関係しているのか、そしてなぜこの高さ制限があるのかを解説していきます。

150m以上の空域は「有人機」と「ドローン」が共存する空域

まず、航空法では、ドローンを含めない「有人航空機」の最低安全高度が定められています航空法第81条です。

この法律により、飛行する場所に応じて、有人航空機は以下の最低安全高度を守って飛行しなければなりません。

  • 人や家屋の密集地域の上空: 300m以上
  • その他の地域の上空150m以上

つまり、人の少ない場所の上空では、有人航空機は地表から150m以上の高度を飛行することになっているのです。

航空法施行規則

(最低安全高度)
第174条 法第81条の規定による航空機の最低安全高度は、次のとおりとする。
一 有視界飛行方式により飛行する航空機にあつては、飛行中動力装置のみが停止した場合に地上又は水上の人又は物件に危険を及ぼすことなく着陸できる高度及び次の高度のうちいずれか高いもの
イ 人又は家屋の密集している地域の上空にあつては、当該航空機を中心として水平距離600メートルの範囲内の最も高い障害物の上端から300メートルの高度
ロ 人又は家屋のない地域及び広い水面の上空にあつては、地上又は水上の人又は物件から150メートル以上の距離を保つて飛行することのできる高度
ハ イ及びロに規定する地域以外の地域の上空にあつては、地表面又は水面から150メートル以上の高度
二 計器飛行方式により飛行する航空機にあつては、告示で定める高度

一方、ドローンは航空法施行規則第236条の71で、地表から150m以上の空域を飛行する場合は、国土交通大臣の許可が必要と定められています。

航空法施行規則

(飛行の禁止空域)

第236条の71 法第132条の85第1項第1号の国土交通省令で定める空域は、次のとおりとする。

一〜四 省略

五 前四号に掲げる空域以外の空域であつて、地表又は水面から150メートル以上の高さの空域(地上又は水上の物件から30メートル以内の空域を除く。)

この2つのルールを合わせると、地表から150m以上の空域は、有人航空機が飛行する可能性のある空域ということになります。ドローンが150m以上の空域を飛行する際に許可が必要となるのは、この有人機との衝突リスクを避けるためなのです。

まとめ

  • ドローンの「150m以上」の飛行許可は、航空法第81条で定められた有人機の最低安全高度と密接に関係しています。
  • 地表から150m以上の飛行許可は、有人機とドローンの衝突を避けるためのルールです。

ドローンを安全に飛行させるためには、こうした法的な背景を理解することがとても大切です。

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ドローンと有人機の飛行ルールクイズ
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