小型無人機等飛行禁止法の重要性
空撮、測量、点検、そして趣味の空撮まで、ドローンの活用範囲は広がる一方です。しかし、「どこでも自由に飛ばせる」というわけではありません。ドローンを安全かつ合法的に飛行させるためには、様々な法律や規制を理解しておく必要があります。その中でも特に重要なのが「重要施設の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律」いわゆる「小型無人機等飛行禁止法」です。この法律を知らずにドローンを飛行させてしまうと、思わぬトラブルや、場合によっては逮捕・罰金といった厳しい罰則の対象となる可能性があります。
1. 小型無人機等飛行禁止法とは?
国の重要施設やその周辺地域の安全を確保することを目的として、ドローンなどの小型無人機の飛行を規制する法律です。当初は国会議事堂、首相官邸、危機管理センターなど一部の重要施設が対象でしたが、テロ対策の強化や社会情勢の変化に伴い、規制対象施設は段階的に拡大されています。
2. 規制される「小型無人機等」とは?
この法律で規制対象となる「小型無人機等」には、一般的にイメージされるドローン(マルチコプター)だけでなく、以下のものが含まれます。
- 小型無人機: ドローン、ラジコン機その他人が乗ることができない飛行機、回転翼航空機、滑空機、飛行船であって、遠隔操作または自動操縦により飛行させることができるもののうち、航空法の適用除外となるもの(重量に関わらず、規制対象となり得ます)。
- 特定航空用機器: 操縦装置を有する気球、ハンググライダー、パラグライダー(モーターを装着したものを含む。)
要するに、人が搭乗せず、遠隔操作や自動操縦で飛行させることができる小型の航空機全般が対象になると考えて良いでしょう。
3. どこが「飛行禁止区域」になるのか?
小型無人機等飛行禁止法によって、以下の施設の敷地・区域およびその周辺おおむね300メートルの地域が「飛行禁止区域」として指定されています。
- 国会議事堂、内閣総理大臣官邸その他の国の重要な施設
- 国会議事堂、議員会館、衆議院議長公邸、参議院議長公邸
- 内閣総理大臣官邸、内閣府庁舎、中央合同庁舎など
- 最高裁判所
- 危機管理対象施設
- 政党事務所、国の行政機関(地方支分部局を含む)の庁舎等
- 指定公的機関の事務所
- 空港 (対象となる空港は別途指定されています。全国の主要空港が該当します。)
- 原子力事業所 (原子力発電所、再処理施設など)
- 防衛関係施設 (自衛隊の施設など)
- 外国公館(大使館、領事館など)
- 要人警護対象施設 (具体的には公表されない場合があります)
- その他、重要として指定された施設
これらの施設は、テロの標的となりやすい、または国の安全保障上重要な意味を持つため、上空からの脅威を排除するために厳重に規制されています。
4. 飛行禁止区域でのドローン飛行は原則禁止!
上記で挙げた飛行禁止区域では、原則として小型無人機等の飛行が禁止されています。違反した場合、1年以下の懲役または50万円以下の罰金という非常に重い罰則に処せられます。
ただし、例外的に飛行が認められるケースもあります。
・対象施設の管理者又はその同意を得た者による飛行
・土地の所有者等が当該土地の上空において行う飛行
・土地の所有者の同意を得た者が、同意を得た土地の上空において行う飛行
・国又は地方公共団体の業務を実施するために行う飛行
これらの例外に該当する時でも、飛行させる48時間前までに警察を経由し、都道府県公安委員会に通報が必要です。
5. ドローンを飛ばす前に必ず確認!
「知らなかった」では済まされないのが、この小型無人機等飛行禁止法です。ドローンを飛行させる前には、必ず以下の点を確認しましょう。
- 飛行場所が飛行禁止区域に該当しないか: 国土地理院の地図情報や、DIPSで飛行禁止区域を確認できます。
- 対象施設の管理者への確認: 施設周辺を飛行させる場合は、念のため管理者に確認を取ることが賢明です。
- 警察への通報の要否: 例外的に飛行が許可される場合でも、警察への事前通報を忘れずに行いましょう。