ドローン飛行に必須の「立入管理措置」
ドローンを安全に飛行させる上で、最も重要なルールの一つが「立入管理措置」です。これは、ドローンが墜落又は、制御不能になり、人や建物等に被害を与えないための安全対策です。
5.立入管理措置に関すること
航空法第132条の85第1項では、 「立入管理措置は、無人航空機の飛行経路下において操縦者及びこれを補助する者以外の立入りを管理する措置であって国土交通省令で定めるもの」としており、航空法施行規則第236条の70においてその詳細として「補助者の配置、立入りを制限する区画の設定その他の適切な措置」としている。補助者の役割については、例として監視及び口頭警告などがあり、また、第三者の立入りを制限する区画(立入管理区画)の設定については、飛行させる無人航空機の落下分散範囲も考慮しなければならないところ、当該区画の範囲を明示するために必要な標識の設置等が必要となるが、関係者以外の立入りを制限する旨の看板、コーン等による表示などの措置が必要となる。以下省略
引用:国交省ホームページ「無人航空機に係る規制の運用における解釈について」
ドローン許可申請を行う際、「飛行リスクの緩和措置の確認」というのがあり、その中で登場するのが、「立入管理区画」と「立入禁止区画」という二つの言葉です。
一見似ていますが、適用される飛行の種類や、求められる安全確保の質が大きく異なります。今回は、この違いをわかりやすく解説します。
立入管理区画とは?(カテゴリーⅡ飛行)
「立入管理区画」は、ドローンの特定飛行を行う際に、第三者の立ち入りを「制限・管理」するエリアの名称です。「立入禁止区画」と比較し緩やかな制限区画です。
落下時に影響が及ぶ可能性のある範囲への第三者の立ち入りを制限し、事故の被害を防止することを目的に、補助者を配置または関係者以外の立入りを制限する旨の看板、コーン等の設置を行います。
立入管理措置(補助者の配置、立入りを制限する区画の設定その他の適切な措置)は、次の図のようにカテゴリーⅡでは必ず設定しなければならない事項です。

引用:国交省ホームページ
立入禁止区画とは?(イベント上空飛行の厳格な措置)
「立入禁止区画」は、リスクが非常に高い飛行で、第三者の侵入を物理的に「禁止」するために設定するエリアです。
多数の観客などが集まる催し場所の上空を飛行させる際、落下による重大な被害を避けるため、安全エリアを完全に隔離することを目的に、飛行高度に基づき計算された落下影響範囲に対し、第三者が立ち入れないように禁止します。
無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領(カテゴリーⅡ飛行)には次のように記載されています。
a)機体について、次に掲げる基準に適合すること。
ア)第三者及び物件に接触した際の危害を軽減する機能を有すること。
当該機能の例は、以下のとおり。
・プロペラガード
・衝突した際の衝撃を緩和する素材の使用又はカバーの装着
・衝突防止センサー(正常に機能していること及び当該センサーの有効範囲や性能上の限界等の範囲内である場合に限る) 等
イ)想定される運用により、10回以上の離陸及び着陸を含む3時間以上の飛行実績を有すること。
b)無人航空機を飛行させる者について、意図した飛行経路を維持しながら無人航空機を飛行させることができること。
c)安全を確保するために必要な体制について、第三者の上空で無人航空機を飛行させないよう、次に掲げる基準に適合すること。
ア)飛行させようとする経路及びその周辺を事前に確認し、適切な飛行経路を特定すること。
イ)飛行経路全体を見渡せる位置に、無人航空機の飛行状況及び周囲の気象状況の変化等を常に監視できる補助者を配置し、補助者は、無人航空機を飛行させる者が安全に飛行させることができるよう必要な助言を行うこと。
ウ)飛行経路の直下及びその周辺に第三者が立ち入らないように注意喚起を行う補助者の配置等を行うこと。
エ)催しの主催者等とあらかじめ調整を行い、次表に示す立入禁止区画を設定すること。
| 飛行の高度 | 立入禁止区画 |
| 20m未満 | 飛行範囲の外周から30m以内の範囲 |
| 20m以上50m未満 | 飛行範囲の外周から40m以内の範囲 |
| 50m以上 100m未満 | 飛行範囲の外周から60m以内の範囲 |
| 100m以上150m未満 | 飛行範囲の外周から70m以内の範囲 |
| 150m以上 | 飛行範囲の外周から落下距離(当該距離が 70m未満の場合にあっては、70mとする。) 以内の範囲 |
以下省略
引用:国交相ホームページ「無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領(カテゴリーⅡ飛行)」
これらを見ても、立入禁止区画は、かなり厳しい制限があることがわかると思います。
「管理」と「禁止」という言葉の違いが、そのまま安全措置の厳格さの違いを表しています。
まとめ
ドローン許可申請では、飛行計画に合った適切な立入管理措置を講じているかどうかが、許可の可否に直結します。
特に、イベント上空などリスクの高い飛行を計画されている方は、「立入管理区画」や「立入禁止区画」の設定ミスがないよう、専門家へのご相談をお勧めします。