介護施設や訪問介護など、福祉・介護事業に携わる皆さまにとって、「もしもの備え」は日々の業務と同じくらい大切なテーマですよね。今回は、介護現場で“必須”となった【BCP(事業継続計画)】について、介護事業の観点からわかりやすくお話します!
■ BCP(事業継続計画)って何?
BCPとは、「地震・台風・感染症のまん延・大規模停電など、緊急事態が起こっても、利用者の安全とサービス提供をどう維持・復旧するかを事前に定めておく計画」のことです。介護の現場では「誰かの“命”を支える」サービスを提供している以上、業務が止まる=命に関わる事態につながりかねません。
■ なぜ介護事業にBCPが必要なの?
1. 利用者の命を守る責任がある
災害やパンデミック(感染症拡大)でも、介護サービスを止めることは難しいのが現実です。「ヘルパーが来られなかった」「施設で食事の用意ができなかった」となると、命に直結する可能性があります。BCPを整備することは、そうした最悪の事態を未然に防ぐ“命綱”です。
2. 法的義務になった!2024年度からの制度変更
2021年の介護報酬改定により、介護サービス事業所にはBCPの策定が段階的に義務化されました。2024年度からはすべての介護事業者において策定・研修・訓練が義務となっています。
つまり、「やった方がいい」から「やらなければならない」へと変わったのです。
3. 職員の安全と働きやすさの確保
災害時、職員も被災者です。BCPでは、職員の安否確認、代替要員の確保、出勤困難な場合の対応なども盛り込む必要があります。安心して働ける環境を整えることが、離職防止にもつながります。
■ BCP 作成のポイント(自然災害発生時)
介護事業のBCPでは、以下のような内容を計画に盛り込むことポイントとされています
・正確な情報集約と判断ができる体制を構築
・自然災害対策を「事前の対策」と「被災時の対策」に分けて、同時にその対策を準備
・業務の優先順位の整理
・計画を実行できるよう普段からの周知・研修、訓練
■ 介護事業所のBCP作成、どう進める?
厚生労働省や地方自治体が、介護事業者向けの「BCP策定ガイドライン」やテンプレートを公表しています。
👉【参考】介護施設・事業所における業務継続計画(BCP)作成支援に関する研修
厚生労働省ホームページhttps://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/douga_00002.html
■ 最後に:BCPは「安心」の提供そのもの
BCPを整備することは、災害時だけでなく、平時の信頼構築にも直結します。
「この施設なら、なにがあっても安心」
そんな言葉を利用者や家族からもらえることが、何よりのやりがいですよね。
介護は「人の暮らしを支える仕事」。
BCPは、その“暮らし”と“命”を守る、現代の介護に欠かせない備えです。