株式会社の設立を検討されている方にとって、避けて通れないのが「定款の作成」です。

かつては紙の定款が当たり前でしたが、現在は「電子認証」を選ぶことで、設立費用を大幅に抑えることができます。今回は、起業準備中の方なら必ず知っておきたい「定款の電子認証」について解説します。

定款の電子認証とは?

定款とは「会社の規則」のようなもので、設立時に公証役場で「認証」を受ける必要があります。

これを従来の「紙」ではなく、PDFデータ(電子文書)で行うのが電子認証です。

紙の定款には「印紙税法」に基づき4万円の収入印紙を貼る必要がありますが、電子データには印紙税がかからないため、4万円の節約になります。

【STEP 1】 事前準備

  1. 公証役場との打合せ(必須)
    • 理由: 電子署名後は修正ができません。修正が必要になると、署名からやり直しになり時間を要します。
    • 定款認証: 内容に不備があると設立登記ができません。事前に公証人のチェックを受けてください。
  2. 電子文書の作成
    • 形式: 原則 PDF
    • サイズ: 10MB以下。
    • ファイル名: 全角15文字 / 半角31文字以内。
  3. 電子署名の付与
    • ソフト: Adobe Acrobat 等。
    • 証明書: マイナンバーカード(公的個人認証)や商業登記に基づく電子証明書など。

【STEP 2】 オンライン申請

  • システム: 法務省が運営する「登記・供託オンライン申請システム」を使用。
  • ユーザー登録: 事前に「申請者情報登録」と「申請用総合ソフト」の導入が必要です。
  • 公証人の指名: 事前打合せをした「指定公証人」を必ず指名します。

【STEP 3】 公証人による認証(選択制)

1. ウェブ会議を利用する場合

  • メリット: 公証役場へ行く必要がありません。
  • 流れ: 画面越しに電子署名が本人によるものであることを確認します。
  • 事前送付: 代理人申請の場合は、電子委任状の送信または紙の委任状(印鑑証明付)の郵送が必要です。

2. 公証役場へ行く場合(対面)

  • 持参するもの:
    • 保存用の電子媒体(新品のUSBメモリ、CD-Rなど)。
    • 本人確認書類: 顔写真付き身分証(免許証等)または印鑑証明書+実印。
    • 代理人の場合: 委任状(実印押印)+委任者の印鑑証明書(3ヶ月以内)。

【STEP 4】 完了

  • 公証人が認証した電子データを受け取ります。これで手続きは完了です。

電子認証を自分で行う際の注意

「4万円浮くなら自分でやろう!」と思うかもしれませんが、実は個人で完結させるにはいくつかのハードルがあります。

専用機材・ソフトの準備

  • マイナンバーカード(電子証明書付き)
  • ICカードリーダー
  • PDFに電子署名を付与するためのプラグインやソフト(Adobe Acrobatなど)

オンライン申請システムの設定

  • 「登記・供託オンライン申請システム」のセットアップは、PC操作に慣れていないと少し時間がかかります。

「4万円の節約」のために、数万円するソフトや機材を買うと、結果的にコストが変わらなくなってしまうケースもあります。

賢い選択肢:専門家への依頼

多くの起業家が、司法書士や行政書士などの専門家に依頼したり、設立支援サービスを利用したりするのは、この「機材コスト」と「手間のリスク」を避けるためです。

  • 専門家に依頼する場合: 報酬を支払っても、印紙代4万円が浮く分で相殺され、実質的な持ち出しが少なく済むことが多いです。
  • 設立サービスを利用する場合: 数千円程度の利用料で電子定款の作成を代行してくれるサービスも増えています。

まとめ

紙で定款を作るより、電子定款のほうがメリットが大きいので、電子定款をお勧めします。

自分で作成する方法もありますが、確実に定款を作成するなら行政書士や司法書士の専門家に相談することをお勧めします。